対露の制裁は効果があるのか
ロシアがウクライナに侵攻したことに対して、世界中で(欧米中心?)、ロシアに対する制裁が課されている。 VISAや、マスターカードといった決済関連だけでなく、飲食店やIT業界も含め、ロシアでの事業停止、新規アカウント作成停止等の措置を取っている。
それって効果があるの?とは思うのだけれど、他に決定打があるわけでもなさそう。
誰に対する制裁?
まず、制裁の影響を受けるのはロシア政府側というよりも、ロシア国民である気がする。 今回の制裁がロシア政府にとって予想外であったならば、効果はあるだろうが、想定内ならば準備はすでにしてあっただろう。 寝耳に水だったのはロシア国民だろうから、ダメージはロシア国民のほうが大きいのではないか。
制裁の効果は?
次に、制裁をすることで得られる結果は、脱依存か、再依存である。 制裁をした場合に、代替リソースがあるならば、移行の手間こそあれ決定的なダメージはない。逆に他からリソースが得られないならば、制裁としては効果がある。
今回の場合、決済関連は、影響は大きそうだが、銀聯がVISAやマスターカードの市場を代替できるし、MicrosoftやAppleの制裁は、オープンソースや場合によってはPiracyへの流れを生み出し、欧米諸国に対する脱依存を促すきっかけとなるのではないか。
制裁の結果
仮に、制裁を終わらせる段階になったとしても、長引くほどに失ったパイ、既に代替されたリソースを取り戻すことは考えにくい。困るのは、最初はロシア国民で、次に制裁を加えた企業自身な気もする1。
つまり、制裁による結果は、欧米諸国が持つ政治・経済的なパワーバランスを各国・各企業に分散させることに繋がる。 ロシア(政府)に対する制裁としての効果は期待できそうにない一方で、副次的な影響の方が大きい気がする。 その点を考慮してか、ロシアでの事業継続を発表する企業もある2。
その他
戦争や侵攻に対しては反対だが、今回のウクライナ侵攻をきっかけにして、ロシア(人)ということだけで、反露感情が生じないことを願う3。 イスラーム法を理由にしたテロが生じれば、ムスリムというだけで毛嫌いされ、コロナが蔓延してからは、反アジア感情が強まるなど、似たようなことは事欠かない。政治の犠牲になるのは国民だし、政治的プロパガンダに右往左往するのも国民。付和雷同せず、自分自身で見極めることが大切だ。